自治体の自転車活用推進計画について①
文:(公財)自転車駐車場整備センター 山本 健一
自治体の自転車活用推進計画①:計画変更時期、駐輪ニーズ対応
Ⅰ 約半分の自治体が計画変更時期
国は、自転車活用推進法(平成28年法律第113号)に基づく自転車活用推進計画を2度策定しています(第1次:平成30(2018)年6月、第2次:令和3(2021)年5月)。都道府県及び市町村(東京特別区も含む)も計画策定に努めることとされていますが、策定状況及びその内容は様々です。主だった自治体として118自治体(都道府県:47、政令指定都市:20、計画策定済みの東京特別区:19、計画策定済みの県庁所在地(政令指定都市を除く):15、これら以外で計画策定済みである当センター直営・管理業務委託施設のある自治体:17)を選び、これら自治体の計画を対象に分析した結果を以下に示します。
国の第2次計画の終了年度は2025年度であり、新たな計画づくりに向けてアンケート調査などが進んでいるところです。各自治体の計画の終了年度をみると、118自治体中、計画上2025年度までに終期を迎えるのが34自治体、2026年度は22自治体であり、計画期間が10年で中間年の2025年に計画見直しを予定している2自治体を加えると合計58自治体となり、全体の約半分の自治体において、ここ1~2年で計画変更作業が進むのではないかと考えられます。
Ⅱ 自治体により違う駐輪ニーズへの対応
国の計画には自転車活用推進のための18の施策が盛り込まれています。その1つに「地域のニーズに応じた駐輪場の整備推進」があり、同施策において講ずべき措置として[①路外への駐輪場設置推進と占用許可の運用見直し、②地域ニーズに応じた取組をとりまとめて自治体へ周知、③鉄道事業者への用地提供等の求め、④業界団体によるラックの技術基準見直しを進めて自治体へ周知]が定められています。自治体の計画においても地域の駐輪ニーズへの対応措置が盛り込まれており、以下のように自治体の役割・特性による措置内容の違いもみられます。
1 都道府県の計画における駐輪ニーズへの対応
都道府県の役割上、市町村への周知や働きかけが措置内容の中心となります。
2 政令指定都市の計画における駐輪ニーズへの対応
民間整備の促進(再開発事業で駐輪場を公共貢献とした容積率緩和、附置義務制度の拡充、民間施設に対する補助等)、多様な車種への対応、ICTの活用、料金見直し、老朽化対策などの措置を記載している自治体が多いです。
3 東京特別区の計画における駐輪ニーズへの対応
前述の政令指定都市と同様に、民間整備の促進、多様な車種への対応、ICTの活用、料金見直し、老朽化対策などの措置を記載している自治体が多いです。また、多様な車種への対応措置を示した自治体の割合が、僅かながら政令指定都市より高いです。
4 県庁所在地の計画における駐輪ニーズへの対応
民間整備の促進に関しては、附置義務制度拡充を記載する自治体が多いです。また、観光施設・サイクリング拠点での整備、LRT停留所付近での整備など、各都市の特性に応じた措置がみられます。
5 センター直営等施設のある都市の計画における駐輪ニーズへの対応
多様な車種への対応を記載する自治体が多いです。また、駐輪場での自転車点検、災害対応機能など、駐輪場多機能化の措置の記載もみられます。
以上のように現行計画においても地域駐輪ニーズへの対応措置内容は様々ですが、計画変更時期を迎える自治体では、今後策定される国の新計画や自治体内の状況変化を踏まえて、新たな措置内容を検討することになると考えられます。