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2025.09.25

コラム

自治体の自転車活用推進計画について②

文:(公財)自転車駐車場整備センター 山本 健一

自治体の自転車活用推進計画②:計画変更からみる駐輪ニーズ

Ⅰ 都道府県では計画変更が進む
国土交通省は、9月10日に令和7年度第1回自転車の活用推進に向けた有識者会議を開催しました。同会議資料によれば、10月~11月頃には次期自転車活用推進計画の骨子案が示されるとのことです。国の次期計画は第3次計画であり、既に1回、計画の変更を行っています(第1次:平成30年6月、第2次:令和3年5月)。前回コラム「自治体の自転車活用推進計画①」(8月21日)で分析の対象にした118自治体をみると、47都道府県においては36自治体で計画変更しています。市や区のグループの計画変更割合はいずれも半分以下であり、その中でも東京特別区においては変更された自治体がありません。
都道府県は、市や区と比べると計画期間を国に合わせる傾向がみられ、国の現計画の終期は本年度ですが、(前回コラムのグラフに示したように)来年度までに計画終期を迎える都道府県が30自治体あります。一方、東京特別区においては、東京都の現計画(令和3年5月)で「区市町村に計画策定を働きかけ」と明示されて以降に第1次の計画を策定している自治体がほとんどであり、いずれの自治体もまだ計画の終期を迎えていません。

Ⅱ 計画変更からみる新たな駐輪ニーズ
今回の有識者会議に示された全国アンケート調査結果(有効回答12,177)によれば、「今後、特に重要だと思う施策(複数選択可)」として「地域の駐輪ニーズに応じた駐輪場の整備推進」を回答した割合は、居住地別にみて政令市・特別区36.2%、その他の市26.1%、町村19.8%であり、大都市を中心にして今後の駐輪ニーズへの対応が望まれている結果が示されています。具体的にどのような駐輪ニーズが増えているのかを、計画変更した自治体における計画内容からみていきます。都道府県計画では36自治体で計画変更している中、計画において駐輪ニーズについては記載されていないか、されていても計画変更に伴う駐輪ニーズの内容に変更がないケースが多く、駐輪ニーズの変更が確認されるのは、36中8自治体です。これらに加え、政令市、県庁所在地、センターの直営・管理業務委託施設のある自治体の中で計画変更している14自治体の計22自治体について、以下のように駐輪ニーズに関して計画変更により新たに記載された内容をまとめました。

1 都道府県の新たな駐輪ニーズ
都道府県において駐輪ニーズの変更が確認されるのは、8自治体です。都道府県の役割上、駐輪ニーズに関しては市区町村への周知や働きかけが措置内容の中心であり、特徴的な新たなニーズとしては、観光政策に伴う駐輪場のPR(福井県、長野県)などがあります。東京都の現計画(令和3年5月)においては、区市町村に自転車活用推進計画策定を働きかけ、ニーズに応じた駐輪場整備を促進する旨の記載があり、同計画以前は23区の中で1自治体しか計画策定されていませんでしたが、現在は19自治体で策定されています。

2 政令市の新たな駐輪ニーズ
政令市においては9自治体が計画変更していますが、その中では新たな駐輪ニーズとして、ICTを活用した料金支払い方法を挙げる自治体(千葉市、静岡市、堺市、福岡市)や、民間の積極活用を挙げる自治体(千葉市、大阪市、福岡市)が目立ちます。ICT活用の料金支払いについては、堺市は、今回の有識者会議資料に示された自治体ヒアリング調査結果においても「機械化、キャッシュレス化のニーズが高いことから、多様な駐輪ニーズへの対応も(国の計画に)追記が必要では」と回答しています。

3 県庁所在地の新たな駐輪ニーズ
県庁所在地(政令市は除く)においては、4自治体が計画変更しています。

4 センター直営施設等のある自治体の新たな駐輪ニーズ
センター直営・管理業務委託施設のある自治体(政令市・県庁所在地は除く)においては、立川市が計画変更しています。


以上のように、計画変更による新たな駐輪ニーズが認められるのは現時点で22自治体ですが、今後1~2年で計画変更の時期を迎える自治体も多く、これら自治体においては、従前の計画には示されていなかった新たな駐輪ニーズが盛り込まれるのではないかと考えます。
※今回の有識者会議の参考資料1のP44に、国の次期計画に関するセンターの考え方も掲載されていますので、ご覧ください。