第1回 過去45 年で最少となった2020年の⾃転⾞事故の件数
2020年、自転車事故は過去45年間で最低の件数に。しかし全体の事故件数に占める自転車事故の割合は2017年から上昇しており、自転車事故対策の重要性が増してきています。自転車事故の発生場所は、交差点の割合が2/3ですが低下傾向、次に歩道が増加傾向で、微減傾向にある車道よりも高い水準が続いています。
第2回 自転車事故の減少の中で見えてくる、自転車利用のアキレス腱
自転車事故の傾向は、対歩行者の割合が2000年以降ほぼ一貫して上昇。対歩行者の事故対策の重要性が大きくなっています。歩道上の自転車事故の相手方は、沿道駐車場などから出てくるクルマが65%で、歩行者が13%。圧倒的にクルマとの事故が多い状況です。
第3回 自転車で行ける距離を多くの人が自家用車を利用している
最近の都市内のクルマの移動距離は5km未満が44%です。この距離では自転車の方が所要時間が短い場合が多くなっています。クルマは都市内では時速約20km。それに対して自転車は約15kmで、入出庫時間等を考えると3-4kmは、自転車の方が所要時間が短いのです。
第4回 自転車の利用を妨げる要因 ~荷物があること
各種アンケート調査では、自転車の利用の阻害要因は、貧弱な走行空間よりも荷物が多いことが高い割合になる場合が多くあります。しかし現実に商業施設で調査すると、レジ袋の数はクルマと自転車で大差はありません。平均1.8袋と自転車で十分運べる量です。買物で荷物があるから自転車は使えないということは日常的にあまりないと思われます。
第5回 自転車の利用を妨げる要因 ~「目的地が遠い」「疲れる」と天候
各種アンケートで、日常行っている通勤や買物等の目的地までの実際の距離は、自転車で行ってもよい距離の範囲内にあると回答している人が約半数以上存在。自転車の利用阻害要因としての距離(疲れる等)は、半数以上の人には当てはまらない結果となっています。
第6回 自転車の利用促進の要因 ~メリットと見える化
自転車の利用を促進する要因は、脱炭素や生活習慣病の予防、経済面、時間面など多種多様です。これを具体的なデータでしっかりと啓発することが重要です。
第7回 自転車の利用促進の要因その2 ~自転車のメリット:健康
自転車を利用することによる健康への影響は見過ごされています。若いうちからしっかりと運動する機会を得ることで、生涯を通じた生活習慣病の予防や健康寿命が延伸されます。このことをしっかりと国民にも理解してもらうことが必要です。時間のない人でも、追加の時間やお金を掛けない身体活動が自転車通勤です。
第8回 自転車の利用促進の要因その3 ~自転車のメリット:買物
自転車利用で最も多い目的が買物です。買物一回当たりの金額は少ないですが、週当たりの来店回数が多いので、クルマでの来店者と買物金額を比較すると自転車の方が多いか大差はありません。来店回数が多いことでにぎわいの創出、ガソリン代、医療費の節約にもつながり、これを奨励することが適当です。
第9回 自転車の利用促進の要因その4 ~自家用車通勤の地域への負荷解消
自転車通勤に切り替えることで、①会社として、健康な戦力をえることができ、②本人にとっても生活習慣病の予防や心身面の健康増進が図れるほか、➂地域の渋滞減少、裏道や通学路の危険性の除去など地域にも貢献でき、企業の責任としても重要です。
第10回 国勢調査からみる通勤通学時の自転車利用の動向①
国勢調査によると、通勤通学時に自転車を利用する割合が、どんどん低下しています。これに対して、クルマでの通勤通学は、一貫して増加しています。また、鉄道・電車及び自転車を利用する人も同様で、自転車の利用を一層推進する必要があります。
第11回 国勢調査からみる通勤通学時の自転車利用の動向② ~都道府県別の動向~
国勢調査によると、都道府県別の通勤通学での自転車利用(ドアツードア)の割合は、大阪府、京都府、愛媛県、高知県、東京都の順に高く、低い割合は、長崎県47位、沖縄県46位、新潟県45位となっています。
第12回 国勢調査からみる通勤通学時の自転車利用の動向③ ~市区町村の動向~
国勢調査によると、市区町村別の通勤通学での自転車利用(ドアツードア)の割合は、高い方から門真市、東大阪市、守口市の順で、20位中大阪府の市町が13、近畿が15も含まれる一方、関東は戸田市のみで西高東低です。また、大分県姫島村、広島県大崎上島町などの島しょも20位中3つ含まれています。
第13回 コロナは自転車通勤を拡大しなかった
2020年の国勢調査によれば、コロナ禍の自転車通勤奨励中にもかかわらず、東京都の都心五区の自転車通勤通学の割合は、千代田区、港区、渋谷区がわずか0.17%~0.03%増加、新宿区や中央区は微減であり、ほとんど拡大しませんでした。具体の支援策が必要です。
第14回 駅から自転車で10分のアクセスの推進
駅から自転車で10分圏内の人口は、徒歩で10分圏の約10倍弱もあり、この範囲からの駅への自転車によるアクセスは大幅に拡大できる可能性があります。
第15回 自転車駐車場の隠れた需要は大きい
駅まで自転車で10分圏で、駅前の自転車駐車場を利用する可能性ある人口は、人口集中地区で最低約15000人もいます。このうち顕在化している利用人口は約900人であり、自転車駐車場の潜在的な需要は大きいのです。
第16回 自転車駐車場が雨で利用しにくい日はわずかです
自転車の最大のネックの一つとされる雨は、調査した都市の朝の通勤通学時間帯でみると、誰もが傘をさす1mmを超える雨量がある時間の割合は平均2.5%。年の半分は降らない月がある都市も相当存在します。また、雨が降っても半数以上はポンチョ等を利用して自転車で外出していて雨が障害となることは思われているほど多くはありません。
第17回 クルマや歩行に比べて自転車の危険性は高くない
自転車が危険であるという見方が一部にあります。しかし、クルマ、徒歩と自転車を人口10万人当たりの事故による死傷者数や死者数で比較した場合、日常の利用距離等を考慮して検討しても、自転車はクルマや徒歩に比べて危険であるとは言えないのです。